時代の主流はぽっちゃり風俗
現在の性風俗のムーブメントが「ぽっちゃり風俗」にあることに異論をはさむ者は、少しでも繁華街を歩いたことがある諸氏にはいないだろう。
人気風俗嬢は押し並べて「ぽっちゃり」であり、トレンドの流れは素人ブームからモデルのような若くてスリムな女性、人妻ブームを経て、まさに今「ぽっちゃり風俗」のムーブメントは絶頂を迎えようとしているのだ。
とある風俗誌の全国的な調査によれば、この5年でぽっちゃりをコンセプトにした店舗数は1.7倍に増え、風俗嬢におけるぽっちゃりタイプの割合は、7%から21%と大きく増加している。
あくまで推測ではあるが、売上比率でいえばぽっちゃり風俗嬢たちで30%程度を占めるのではないだろうか。
「東京オリンピックショック」が起こる2020年を迎えようとしている風俗業界を牽引しているのは、まさにぽっちゃり風俗嬢たちであるという前提を、まずは多くの方に誤解なきよう宣言しておく。
時代はぽっちゃり風俗なのだ。
ぽっちゃり風俗嬢の定義とは
しかし、ぽっちゃり風俗嬢が性風俗業界において増えている、とは言ってもそのソースは風俗雑誌の統計である。
なおも風俗雑誌では若くてスリムな風俗嬢のグラビアや、熟女風俗への潜入記事のほうが目にする機会も多いため、ぽっちゃり風俗嬢が時代を牽引していると言われても、その真偽を問う意見もあるかもしれない。
たしかに風俗雑誌において「ぽっちゃり」の定義はあいまいである。
体重なのか見た目なのか体脂肪率なのか。
学術論文として、ぽっちゃり風俗嬢の定義について論じていてはイタズラに時を浪費してしまうだけだろう。
しかし、本来の意味での市井の風俗の空気を読むとそこにはぽっちゃり風俗という本流が確かに存在しているのだ。
明るいキャラクターの是非
ぽっちゃり風俗嬢には、明るいタイプで人当たりが良い女性が多い。
もちろん、風俗嬢として人気を得ている人なのだから陰気なオーラを纏っている訳はない。
一般的な「ぽっちゃり女性」も明るい人が多い印象がある。
それは、たしかに体型にコンプレックスを持っていて、それを「自分で克服したことから来る明るさ」なのだと取材先のぽっちゃり風俗嬢「由香里」に諭されたことを思い出す。
その明るさは強さであり、開き直りなのでもあるかとは思うが、心の奥底に潜む「太っていることのコンプレックスの裏返し」なのであり、自分の一番痛いところのかさぶたをはがされないための自衛の策でもあるのだという。
求人情報を見て面接に来るぽっちゃり風俗嬢候補の女性たちも、明るいキャラクターの女性が多いとぽっちゃり風俗店の求人担当者は口をそろえる。
だが、同時にただ明るいだけで薄っぺらな女性が多いことを懸念していた。
ぽっちゃり風俗嬢候補の持つ明るさは、自分の本質から目を反らしているだけなのではないだろうか。
ぽっちゃり特有の明るさからくる誤解
その明るさとは「私は幸せ! 私は幸せ!」と自分に言い聞かせていることから来る明るさなのだろう。
たしかにそう考えることは、生きて行く強さを与えてくれるのかもしれない。
しかし、その反面、逃げである側面もある。
風俗とは男性客を心から接待するべき職種だ。
「私は接客ができる! 接客ができる!」と、薄っぺらな明るさでごまかしていては、男性客の繊細な心の動きを察知することができないのだ。
逆に「接客に自信がなくて…」「男性客に嫌われないか不安」などと、すこし不安に思っている地味目な性格の女性の方が、ことぽっちゃり風俗嬢には向いている。
ひとりひとりの男性客の心に寄り添い、男性客が臨んでいるサービスを見つけ出すことは、不安を解消するために客と真摯に対面し、そこから生まれる気配りからしかできないからだ。
とどのつまり、大きくも小さくも、風俗とは客を満足させられるかの接客業なのだ。